【動物病院監修】犬の認知症(認知機能不全症候群)~高齢のわんちゃんに見られる行動変化とケアのポイント~ NEW
【動物病院監修】犬の認知症(認知機能不全症候群)~高齢のわんちゃんに見られる行動変化とケアのポイント~
はじめに
相模原市・町田市・八王子市の皆様こんにちは。
相模原市緑区にある、ほさか動物病院です。
近年、わんちゃんの平均寿命が延びるにつれ、「犬の認知症(認知機能不全症候群)」が増加しています。
これは、人間でいう認知症に似た病気で、脳の老化や神経伝達の異常によって、記憶や学習能力、行動に変化が起こる状態を指します。
初期では見逃されやすいですが、早期に気づき、環境整備や治療を行うことで、進行を緩やかにすることが可能です。
犬の認知症の原因と対処法とは?
犬の認知症の主な原因は、加齢に伴う脳の神経細胞の変性や、脳血流の低下と考えられています。
また、酸化ストレス、神経炎症、アミロイドβの沈着といった脳の変化も関与しています。
発症しやすいのは、おおむね10歳以上のシニア期のわんちゃんです。特に小型犬では長寿が多く、発症率も上がる傾向にあります。
症状としては、次のような行動変化が見られます。
・夜中に起きて鳴く、徘徊する
・昼夜が逆転する
・トイレの場所を忘れる
・名前を呼んでも反応しない
・同じ場所をぐるぐる回る
・ぼんやりしている時間が増える
・ご家族に対する反応が鈍くなる
これらの変化が数週間以上続く場合、脳の老化による認知機能の低下が疑われます。
自宅でできる犬の認知症ケア
認知症の治療は、進行を止めるというよりも「進行を遅らせ、生活の質を保つ」ことが目標になります。
ご家庭での環境整備と生活サポートが非常に大切です。
生活リズムを整える
朝はカーテンを開けて日光を浴びさせ、夜は静かで暗い環境を作ることで、体内時計を整えましょう。
軽い運動や刺激を与える
毎日の散歩や遊びは脳への刺激になります。
無理のない範囲で、においを嗅がせたり、短い時間のコミュニケーションを増やすことが効果的です。
安心できる環境を作る
家具の配置を頻繁に変えないようにし、滑らない床にするなど、安全な動線を確保しましょう。
栄養サポート
DHA・EPAなどのオメガ3脂肪酸、抗酸化物質(ビタミンE・C、ポリフェノール)、中鎖脂肪酸(MCT)などを含む食事が脳機能の維持に役立つといわれています。
睡眠環境の工夫
夜間の鳴きや徘徊が多い場合は、照明を薄くつけたり、穏やかな音楽を流すなど、安心できる環境を整えましょう。
動物病院を受診すべきサイン
次のような変化が見られる場合は、認知症以外の病気の可能性もあるため、早めの受診をおすすめします。
・急に夜鳴きが始まった
・食欲不振、体重減少
・ふらつき、歩行異常
・視覚・聴覚の低下
・反応が鈍い、昏睡傾向
・発作やけいれんがある
認知症に似た症状は、脳腫瘍や脳炎、内分泌疾患(甲状腺機能低下症、クッシング症候群)、肝疾患、腎疾患などでも見られます。
そのため、まずは全身検査で他の疾患を除外することが重要です。
ほさか動物病院の犬の認知症診療方法
当院では、まず全身状態を確認し、血液検査・尿検査・レントゲン・超音波検査などを行って、認知症以外の病気がないかを丁寧に確認します。
認知機能の低下が疑われる場合には、症状の経過や行動変化を詳しくお聞きし、進行度を評価します。
治療は以下のような方法を組み合わせて行います。
・抗酸化作用や神経保護作用のあるサプリメント
・脳血流を改善する内服薬
・不安を和らげるサプリメントやフェロモン製剤
・生活リズムや環境整備のアドバイス
また、痛みや慢性的なストレス、内臓疾患が認知症のような行動変化を引き起こすこともあるため、包括的な診療を心がけています。
ほさか動物病院の認知症治療の特徴3つ
総合的な診断アプローチ
血液検査や画像検査を通じて、認知症と他の疾患をしっかり見分け、最適な治療方針を立てます。
ご家庭との連携を重視
ご家族と連携し、生活環境やわんちゃんの行動記録をもとに、家庭でできるケアを具体的に提案します。
サプリメント・漢方・フェロモン療法の活用
薬だけに頼らず、自然療法を取り入れた穏やかな治療を行います。
終わりに
犬の認知症は、加齢によって誰にでも起こりうる病気ですが、早期に気づいてケアを始めることで、穏やかに過ごせる時間を長く保つことができます。
夜鳴きや徘徊、昼夜逆転などの行動が見られたときは、「年のせい」と考えず、ぜひご相談ください。
ほさか動物病院では、わんちゃんの心と体の両面からサポートし、ご家族が安心して介護を続けられるよう丁寧にサポートいたします。