【動物病院監修】猫ちゃんの分離不安症~ストレスの背景に隠れた痛みや不安を見逃さない~

【動物病院監修】猫ちゃんの分離不安症~ストレスの背景に隠れた痛みや不安を見逃さない~
はじめに

相模原市・町田市・八王子市の皆様こんにちは。
相模原市緑区にある、ほさか動物病院です。

「留守中に猫ちゃんが鳴き続ける」「帰宅すると家具やカーテンがボロボロになっている」「トイレ以外で排泄してしまう」──。
このような行動でお困りではありませんか?

それは、猫ちゃんの分離不安症のサインかもしれません。
分離不安症は、飼い主様との強い結びつきがある猫ちゃんほど起こりやすく、
お留守番や環境の変化に強いストレスを感じることで現れる行動異常です。

今回は、猫ちゃんの分離不安症の原因と症状、
そしてほさか動物病院で行っている治療・サポート方法について詳しくご紹介します。

1.猫ちゃんの分離不安症とは?

分離不安症とは、飼い主様と離れることに強い不安や恐怖を感じる状態のことです。
犬では比較的よく知られていますが、猫ちゃんにもこの問題は存在します。

近年は完全室内飼育が一般的となり、
猫ちゃんが飼い主様と密接に暮らす時間が増えたことで、
分離不安のケースが増加しています。

2.分離不安症の主な症状

分離不安症の猫ちゃんでは、飼い主様の不在時や外出準備をきっかけに、以下のような行動が見られることがあります。

留守中の鳴き声(不安鳴き)

家具やカーテンを壊すなどの破壊行動

トイレ以外での排泄

食欲低下または過食

飼い主様の帰宅時に過度に興奮する

過剰なグルーミング(毛づくろい)による脱毛

このような行動が繰り返される場合、単なる「いたずら」や「甘え」ではなく、
精神的ストレスや身体的要因が関係している可能性があります。

3.分離不安症の原因

猫ちゃんの分離不安は、単に「性格が甘えん坊」ということだけでは説明できません。
いくつかの要因が重なって発症することが多いとされています。

① 環境や生活リズムの変化

引っ越し、新しいペット・家族の増加、模様替え、飼い主様の外出時間の増加など、
環境の変化は猫ちゃんにとって大きなストレスになります。

② 幼少期の経験不足

子猫の頃に社会化が十分に行われなかった場合、
環境変化や孤独に適応しづらくなる傾向があります。

③ 飼い主様との過度な依存関係

常に飼い主様のそばで過ごしている猫ちゃんは、
離れることで強い不安を感じやすくなります。

④ 痛みや体調不良の影響

重要なのが、身体の痛みや慢性疾患が不安行動の引き金になるという点です。
例えば、

関節炎や腰痛による慢性的な痛み

歯肉炎・歯周病による口の違和感

内臓疾患やホルモン異常による不快感
などが、猫ちゃんの行動変化(鳴き声・攻撃・過剰グルーミング)として現れることがあります。

そのため、分離不安を疑う場合には、まず身体疾患をしっかり除外することが重要です。

4.診断の流れ(ほさか動物病院)

当院では、分離不安症を「心の問題」としてだけでなく、
身体の痛み・病気・ストレス要因を総合的に評価しています。

検査・評価の流れ

1️⃣ 問診と行動ヒアリング
 留守中の様子・鳴き方・破壊のタイミングなどを詳しく伺います。動画があると診断に非常に役立ちます。

2️⃣ 身体検査・血液検査
 痛みや内臓疾患が隠れていないかを確認します。

3️⃣ 神経・整形チェック
 関節炎や神経痛など、行動に影響する痛みを評価します。

4️⃣ 生活環境の確認
 部屋のレイアウト、トイレや食事の場所、遊び方などを一緒に見直します。

これらを総合して、「行動的要因」「身体的要因」「環境要因」のどこに問題があるかを見極めます。

5.ほさか動物病院での治療方針

分離不安症の治療は、「薬で抑える」ことが目的ではなく、
猫ちゃんの心身を落ち着かせ、ストレスの原因を取り除くことが大切です。

当院では、以下のような方法を組み合わせ、猫ちゃんに合わせた治療を行っています。

① サプリメント療法

ストレス緩和に有効な天然成分(L-テアニン・トリプトファン・カゼインペプチドなど)を含むサプリメントを使用します。
副作用が少なく、長期的に安心して続けられます。

② 漢方療法

体質やストレスのタイプに合わせて、気の流れや自律神経を整える漢方薬を使用します。
「イライラしやすいタイプ」「怖がりタイプ」など、猫ちゃんの性格に合わせて処方を検討します。

③ フェロモン製剤の使用

猫ちゃんの安心ホルモンといわれる「フェロモン」を再現したスプレーやディフューザーを使用し、
安心感のある環境をつくります。
新しい環境に慣れやすくなり、飼い主様の外出時も落ち着いて過ごせるようになります。

④ 環境整備・生活習慣の見直し

猫ちゃんが一人でも安心して過ごせるよう、

高い場所や隠れ場所の確保

トイレ・食事場所を静かに分ける

ラジオや環境音を流す

飼い主様の服の匂いを残しておく
など、猫ちゃんの安心スペースを整えます。

また、短時間のお留守番から少しずつ慣らす「トレーニング」も効果的です。

6.治療経過とフォロー

分離不安症はすぐに治るものではなく、時間をかけて少しずつ改善していく病気です。
治療初期は、飼い主様と猫ちゃんの双方にとって負担がかかることもありますが、
焦らず継続することで、多くの猫ちゃんが落ち着きを取り戻していきます。

当院では、定期的に経過を確認し、

サプリメントや漢方の調整

環境改善の効果チェック

新たなストレス要因の確認
を行いながら、猫ちゃんにとって最適な方法を一緒に見つけていきます。

7.ほさか動物病院の分離不安症治療の特徴3つ
① 身体疾患を除外した上での丁寧な診断

痛みや内臓疾患を見落とさず、医学的根拠に基づいて行動の原因を分析します。

② サプリメント・漢方・フェロモン中心のやさしい治療

薬物療法に頼りすぎず、体にやさしい自然療法を重視しています。

③ 環境整備と行動改善の両立

猫ちゃんと飼い主様の生活環境を見直し、無理のないペースで改善をサポートします。

8.終わりに

猫ちゃんの分離不安症は、「心の問題」だけでなく、「身体の不調」や「痛み」が関係していることも少なくありません。
原因をしっかり見極め、心身の両面からアプローチすることで、
多くの猫ちゃんが再び穏やかで安心した生活を取り戻すことができます。

もし、猫ちゃんの鳴き声や排泄の問題、破壊行動などにお悩みの場合は、
ぜひ早めにほさか動物病院までご相談ください。

猫ちゃんとご家族が、より心地よく過ごせる毎日を一緒にサポートしてまいります。