【動物病院監修】猫ちゃんの結膜炎の原因と対処法~目の赤み・涙・目やにに要注意~
【動物病院監修】猫ちゃんの結膜炎の原因と対処法~目の赤み・涙・目やにに要注意~
はじめに
相模原市・町田市・八王子市の皆様こんにちは。
相模原市緑区にある、ほさか動物病院です。
今回は、猫ちゃんの「結膜炎」について詳しく解説いたします。
猫ちゃんの目はとてもデリケートで、わずかな刺激や感染でも涙や目やに、充血などの症状が現れます。
「少し赤いだけだから」と放置してしまうと、炎症が進行して角膜まで影響を及ぼし、視力に関わることもあります。
早めに原因を特定し、適切な治療を行うことが大切です。
1.猫ちゃんの結膜炎の原因と対処法とは?
猫ちゃんの結膜炎は、原因によって治療方針が異なります。主な原因を見ていきましょう。
① ウイルス感染(猫ヘルペスウイルス、カリシウイルス)
もっとも一般的なのがウイルスによる結膜炎です。
特に猫ヘルペスウイルス(FHV-1)やカリシウイルス(FCV)が原因となり、
くしゃみや鼻水を伴う“猫風邪”と呼ばれる症状の一部として現れます。
ウイルス性結膜炎では、目の充血、涙、粘り気のある目やにが特徴です。
ストレスや免疫の低下をきっかけに再発することもあり、慢性化しやすい病気です。
対処法:
ウイルスを完全に除去する治療法はないため、抗ウイルス点眼薬・抗菌点眼薬で症状を和らげ、
二次感染を防ぐ治療を行います。
また、免疫を整えるためにインターフェロンの点眼やサプリメント、環境改善も併用します。
② 細菌感染
ウイルス感染の後や外傷に続発して、細菌感染を起こすこともあります。
黄色や緑色の膿のような目やにが出る場合は細菌感染のサインです。
対処法:
顕微鏡検査や染色検査で細菌の存在を確認し、抗菌薬の点眼や内服で治療します。
症状が強い場合には抗炎症薬を併用して炎症を抑えます。
③ アレルギー性結膜炎
花粉、ハウスダスト、カビ、香料など、アレルギー物質によって結膜が刺激を受けることで発症します。
かゆみや涙、目の赤みが特徴で、くしゃみや鼻水を伴うこともあります。
対処法:
原因物質をできるだけ避け、抗ヒスタミン薬やステロイド点眼で炎症をコントロールします。
また、アレルギー検査によって原因を調べ、長期的な対策を立てることも可能です。
④ 異物や外傷
砂やホコリ、まつ毛、被毛などの異物が結膜を刺激して炎症を起こすことがあります。
長毛の猫ちゃんや鼻が低い猫種では、特にこのタイプの結膜炎が多く見られます。
対処法:
異物を丁寧に除去したうえで、角膜に傷がないかを確認します。
必要に応じて抗生剤点眼薬や角膜保護点眼薬を使用し、治癒を促します。
⑤ 涙道や瞬膜の異常
涙が正常に流れずに溜まる「涙道閉塞」や、
白い膜のような「瞬膜(第三眼瞼)」が炎症を起こすケースもあります。
対処法:
涙道洗浄で通りを改善し、抗炎症治療を行います。
再発を防ぐために、目の周囲の清潔を保つことも大切です。
⑥ 全身疾患による結膜炎
猫エイズウイルス(FIV)や白血病ウイルス(FeLV)感染、腎臓病などの全身疾患により、
免疫力が低下して結膜炎が続くこともあります。
対処法:
血液検査で全身状態を評価し、根本原因に対する治療を並行して行います。
2.自宅でできる猫ちゃんの目のケア
軽い涙や目やにのときには、自宅でできるケアもあります。
清潔なガーゼで優しく拭く
→ ぬるま湯で湿らせた清潔なガーゼで、外側から内側へやさしく拭き取ります。
部屋の清潔を保つ
→ ホコリや花粉を減らすことで、刺激を軽減します。
乾燥対策を行う
→ 乾燥した環境は目の粘膜を刺激しやすいため、加湿を意識しましょう。
強い香りを避ける
→ タバコ・香水・芳香剤などは目を刺激するため控えましょう。
ただし、目を開けられない、腫れている、目やにが膿のような場合は、
自宅ケアでは治らないことが多いため、早めに動物病院を受診してください。
3.動物病院を受診すべき猫ちゃんのサイン
次のような症状がある場合は、すぐにご相談ください。
目が赤く腫れている
目やにが増えた、色が黄色や緑になった
目を細めたり、しょぼしょぼしている
前足で目をこする仕草をしている
片目だけ涙が多い
元気や食欲が落ちている
猫ちゃんは我慢強いため、症状を見せにくいことがあります。
少しの変化でも、早期に診察を受けることが再発防止につながります。
4.ほさか動物病院の結膜炎治療方法
当院では、猫ちゃんの結膜炎に対して以下のような検査・治療を行っています。
視診と問診:目の症状だけでなく、くしゃみ・鼻水・体調全体を確認します。
蛍光染色検査:角膜の傷を確認し、損傷の有無を判断します。
細胞診・顕微鏡検査:感染や炎症の種類を見極めます。
涙道洗浄:涙の流れが悪い場合に実施します。
血液検査:全身状態やウイルス感染の有無を確認します。
治療内容:
抗生剤や抗ウイルス薬の点眼
抗炎症薬や免疫調整剤
インターフェロン点眼
栄養・水分・環境の改善指導
基本的に、当院内での検査・治療でほとんどの結膜炎に対応が可能です。
重症例や特殊な疾患が疑われる場合には、必要に応じて外部の専門機関をご紹介いたします。
5.ほさか動物病院の結膜炎治療の特徴3つ
① 原因を丁寧に特定
結膜炎は「見た目が似ていても原因がまったく異なる」ことが多いため、
当院では、顕微鏡検査や染色検査を組み合わせて原因を正確に特定します。
② 再発を防ぐ治療方針
ウイルスやアレルギーなど再発しやすい疾患にも、
体質改善や生活環境のアドバイスを含めてサポートします。
③ 猫ちゃんに優しい診察環境
猫ちゃんが落ち着いて診察を受けられるよう、静かな診察室環境を整えています。
ストレスを最小限にしながら、しっかりとした診療を行います。
6.終わりに
猫ちゃんの結膜炎は、単なる目の病気ではなく、ウイルス感染や全身疾患のサインであることもあります。
「目が赤い」「目やにが増えた」と感じたときは、早めの受診が大切です。
早期発見・早期治療によって、多くの猫ちゃんが快適に回復できます。
目のトラブルが続く場合や、他の症状を伴う場合は、お気軽にほさか動物病院までご相談ください。