【動物病院監修】犬の歯磨きの重要性と口腔トラブル対策~歯肉炎・歯周病・歯石を防ぐには?~
【動物病院監修】犬の歯磨きの重要性と口腔トラブル対策~歯肉炎・歯周病・歯石を防ぐには?~
はじめに
相模原市・町田市・八王子市の皆様こんにちは。相模原市緑区にある、ほさか動物病院です。
私たちは、地域の大切なご家族であるわんちゃん・ねこちゃんの健康を守るため、日々の診療に真摯に取り組んでいます。
今回は「犬の歯磨き」について解説いたします。
人間と同じように、わんちゃんも口腔ケアがとても重要です。実は、3歳以上の犬の80%以上が何らかの歯周病を抱えているとの報告もあり、多くは日々の「歯磨き習慣の不足」に起因しています。
口臭が気になる、歯が黄色くなってきた、歯茎が赤く腫れている、そんなサインを見逃さないでください。歯磨きは単なるケアではなく、寿命に影響することが報告されました*。*Urfer, Silvan R., et al. "Risk factors associated with lifespan in pet dogs evaluated in primary care veterinary hospitals." Journal of the American Animal Hospital Association 55.3 (2019): 130-137.
この記事では、わんちゃんの歯磨きの必要性と、その背景にある「歯肉炎」「歯周病」「歯石」との関係、家庭でのケア方法、病院での治療、そして当院の特徴について詳しくご紹介します。
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犬の歯磨きの重要性と口腔疾患の関係とは?
1. 歯垢・歯石の蓄積が口腔トラブルの始まり
わんちゃんの口の中は人間よりもアルカリ性で、歯垢が歯石に変わるスピードが非常に早いとされています。なんと、3~5日で歯石化が始まるとも言われており、毎日の歯磨きを怠ることで、細菌の温床となる「歯垢」が徐々に固まり、病気を引き起こします。
2. 歯肉炎と歯周病の進行
• 歯肉炎:歯と歯茎の間に細菌が入り込み、炎症が起きた状態。赤み、腫れ、出血が見られます。
• 歯周病:歯肉炎が悪化すると、歯の周囲組織(歯根膜・歯槽骨)が破壊されていきます。進行すると歯がグラグラし、最終的には脱落することも。
歯周病の怖い点は、口の中だけにとどまらず、心臓・腎臓・肝臓などの臓器に悪影響を及ぼすことがある点です。つまり、歯磨きは口腔の問題だけではなく、全身の健康を守るためにも不可欠なのです。
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自宅でできるわんちゃんの歯磨き処置
1. 歯磨き習慣をつけるには「段階的に慣らす」
歯磨きは一朝一夕では身につきません。以下のステップで慣れさせましょう。
• ステップ1:口に触れられることに慣れさせる
• ステップ2:ガーゼや指サックで歯に触れる
• ステップ3:犬用歯ブラシと歯磨きペーストで優しく磨く
嫌がる場合は無理せず、1日数秒ずつでも良いので、毎日継続することが重要です。
*当院では歯みがき教室も実施しています(不定期開催のため、詳細はスタッフまたはHPをご覧ください。)
2. 歯磨き以外の補助的ケア
• デンタルガムやおもちゃ:噛むことで歯垢除去を助けます
• 口腔用ジェル・スプレー:細菌の繁殖を抑える成分を配合
• 飲み水に混ぜるタイプのマウスリンス
ただし、補助製品はあくまで「サブ手段」。歯ブラシによる物理的な清掃に勝るものはありません。
3. 歯磨きが難しい犬種や個体もいる
短頭種(フレンチブル、パグなど)や、口元を触られるのが苦手な犬は特に注意が必要です。無理をするとストレスになったり、噛みつき行動に繋がる可能性もあります。そうした場合は、無理に自宅で続けず、当院スタッフに相談してください。
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動物病院を受診すべきわんちゃんの歯のサイン
以下のような症状が見られたら、早めに獣医師の診察を受けましょう。
• 口臭が強くなった
• 歯茎が赤く腫れている・出血がある
• 歯が黄色や茶色に変色している
• ごはんを食べづらそうにしている・片側だけで噛む
• くしゃみ・鼻水・涙が出る(重度歯周病で鼻腔に炎症が波及していることも)
• 歯がグラグラしている、抜けた
犬は痛みを我慢する傾向が強く、重症になるまで症状が目立たないことが多いのが特徴です。「おかしいな」と感じた時点で、すぐに動物病院へご相談ください。
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ほさか動物病院のわんちゃんの歯科治療方法
当院では、予防・診断・治療・管理のすべての段階において、愛犬の口腔ケアを総合的にサポートしています。
1. 無麻酔での口腔チェック
定期健診時に、歯垢・歯石・歯茎の状態を確認します。ご自宅での歯磨き指導もこのタイミングで実施します。
2. 麻酔下での歯科処置(スケーリング)
重度の歯石・歯周病には、全身麻酔下での歯石除去・ポリッシング・抜歯処置が必要です。歯石は固くこびりついており、専用のスケーラーでなければ除去できません。
• 歯科用レントゲン検査により歯根の状態も評価
• 必要に応じて歯周ポケットの洗浄、抗生剤の投与を行います
3. 術後のケアと再発防止
処置後には、自宅でのケア指導・定期的な再診をセットで行います。1回の治療だけでは再発を防げませんので、「通院+家庭ケア」の両輪が必要です。
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ほさか動物病院の歯科治療の特徴3つ
1. 麻酔前検査と安全管理の徹底
全身麻酔にはリスクも伴います。当院では、術前血液検査・レントゲン・心電図などのチェックを行い、安全な麻酔管理を実施。高齢犬や持病を持つ犬にも配慮した対応が可能です。
2. 口腔内全体を評価する総合歯科診療
見える範囲の歯だけでなく、麻酔時には歯科用レントゲンを用いて歯根の状態や骨の吸収具合までしっかり確認します。見逃されやすい「隠れたトラブル」も含め、根本治療を目指すのが当院の特徴です。
3. ご家族への丁寧な歯磨き指導とサポート
わんちゃんの歯磨きは「技術」と「根気」が必要です。私たちは、道具の選び方・磨き方・嫌がらせないコツなど、ご家族一人ひとりに合わせた指導を行っています。継続できるケアの仕組み作りも一緒に考えます。
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おわりに
犬の歯磨きは、単に「口臭を減らす」「歯を白く保つ」という表面的な目的にとどまらず、歯肉炎・歯周病・歯石といった深刻な疾患を予防し、愛犬の健康寿命を延ばすための基本中の基本です。
わんちゃんの歯磨きの場合は、早めに適切な対応を取ることが大切です!
症状が長引く場合や他の異常がある場合は、ほさか動物病院での診察をおすすめします。
一生自分の歯でごはんを楽しんでもらうために、今日から歯磨きを習慣化していきましょう。
私たちも全力でサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
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