【動物病院監修】犬の生理と注意すべき病気~子宮蓄膿症や膣炎から愛犬を守る~

【動物病院監修】犬の生理と注意すべき病気~子宮蓄膿症や膣炎から愛犬を守る~
はじめに
相模原市・町田市・八王子市の皆様、こんにちは。
相模原市緑区にある ほさか動物病院 です。
私たちは、地域の皆様の大切なご家族であるわんちゃん・ねこちゃんの健康を守るために日々診療にあたっています。
今回は「犬の生理(発情周期)」について解説します。犬には人間のような「月経」はなく、発情期に見られる出血が一般的に「生理」と呼ばれています。ご家族様にとって、初めて愛犬の生理を目にする際は驚くことも多いでしょう。しかし、生理の仕組みや正しい知識を知っておくことはとても重要です。
特に、発情期や繁殖に関わる病気として「子宮蓄膿症」や「膣炎」は命に関わることもあり、早期の対応が必要になります。この記事では、犬の生理の基本、注意すべき病気、自宅でできるケア、そして当院での治療について詳しくご紹介します。
________________________________________
犬の生理(発情周期)とその特徴
犬の「生理」と呼ばれる現象は、正確には「発情出血」です。
発情周期の流れ
犬の発情周期は およそ6~8か月ごと に訪れます。
1.    発情前期(約7~10日間)
外陰部が腫れ、出血が始まります。オス犬は興味を示しますが、メスはまだ交配を受け入れません。
2.    発情期(約7~10日間)
出血が減り、性行動が活発になります。この時期に交配が成立することが多いです。
3.    発情後期(約60日)
交配しなくても妊娠に似たホルモン変化が起きることがあります。
4.    休止期(約3~4か月)
ホルモンが安定し、繁殖器の活動も落ち着きます。
出血の特徴
・人の生理のように「古い子宮内膜が剥がれて出る」ものではなく、ホルモン変化に伴う子宮内膜の血管透過性亢進によるものです。
・通常は 2〜3週間程度続く ことが多いです。
________________________________________
犬の生理に伴う注意すべき病気
犬の発情周期に関連して起こる病気の中で、特に注意が必要なのが 子宮蓄膿症 と 膣炎 です。
1. 子宮蓄膿症
発情後期に黄体ホルモンが分泌される影響で子宮内膜が変化し、細菌感染を起こすと子宮の中に膿がたまります。
特に 避妊手術を受けていない中高齢のメス犬 に多く発生します。
症状
•    水をたくさん飲む・尿量が増える
•    元気消失、食欲不振
•    陰部から膿や血膿が出る(開放性)
•    出ない場合はお腹に膿がたまり重篤化する(閉鎖性)
治療
外科的に卵巣・子宮を摘出する避妊手術が基本です。重症の場合は命に関わります。
________________________________________
2. 膣炎
発情期や子犬の頃に見られることがあり、膣に細菌が感染して炎症が起こる病気です。
症状
•    陰部から膿や粘液が出る
•    陰部を舐める
•    落ち着きがなくなる
治療
抗生物質や抗炎症薬の投与、膣の洗浄などを行います。
________________________________________
自宅でできる犬の生理・発情期のケア
1.    清潔を保つ
・床やベッドに血が付くため、マナーパンツを活用する
・こまめに拭き取り、皮膚炎を防ぐ
2.    散歩時の注意
・発情期はオス犬が寄ってきやすく、思わぬ交配事故につながるため注意が必要
・安全のため人混みを避けた時間帯に散歩する
3.    食事管理
・発情期はホルモンの影響で食欲に変化が出る場合があります
・体調に合わせたフード管理を行いましょう
4.    避妊手術の検討
繁殖予定がない場合は、病気予防の観点から避妊手術を考えることも大切です。
________________________________________
動物病院を受診すべき犬のサイン
次のような症状が見られたら、早めに動物病院を受診してください。
•    発情出血が1か月以上続く
•    出血の量が極端に多い
•    元気や食欲がない
•    陰部から膿のような分泌物が出る
•    水を大量に飲む
•    お腹が張ってきた
これらは 子宮蓄膿症や膣炎のサイン の可能性があります。
________________________________________
ほさか動物病院の犬の生理関連疾患の治療方法
当院では以下の流れで診療を行います。
1.    問診と身体検査
症状や出血の経過、既往歴を詳しく伺います。
2.    検査
•    血液検査(炎症反応や腎機能)
•    超音波検査(子宮の膿や肥厚の確認)
•    細菌培養や細胞診
3.    治療
•    子宮蓄膿症 → 卵巣・子宮摘出手術が基本
•    膣炎 → 抗生物質や洗浄、点滴治療
•    支持療法(点滴、抗炎症薬)で全身状態を安定させる
________________________________________
ほさか動物病院の犬の生理・子宮疾患治療の特徴3つ
1. 早期診断を重視した検査体制
最新の超音波機器や血液検査を活用し、子宮や卵巣の状態を的確に評価します。
2. 命を救う迅速な外科治療
子宮蓄膿症は緊急性が高いため、迅速に外科対応できる体制を整えています。
3. ご家族に寄り添う丁寧な説明
避妊手術のメリット・デメリットを含め、治療方針をわかりやすくご説明し、不安を軽減できるよう努めています。
________________________________________
おわりに
犬の「生理(発情出血)」は自然な現象ですが、その背景にはホルモン変化があり、病気のリスクと隣り合わせです。特に 子宮蓄膿症 は命に関わる重大な病気であり、発情期や高齢期の犬を飼っている方は注意が必要です。
犬の生理や子宮疾患の場合は、早めに適切な対応を取ることが大切です!
症状が長引く場合や他の異常がある場合は、ぜひ「ほさか動物病院」での診察をおすすめします。私たちは地域の皆様とわんちゃんの健康を全力でサポートいたします。
________________________________________