症例報告

てんかん発作

2018年11月28日

今回はてんかんについて説明します

 

てんかんとは脳内の異常により繰り返しおこる発作のことで、さまざまな発作のパターンがあります
わかりやすいものでは、前足と後ろ足がばたばたと動いたり、ぴーんと固まったりする強直間代性発作です
そのほかにも前足だけ力がぬける、ぼーっとしたりくるくる回るなどさまざまものがあります
てんかんと似たような症状で心臓や内臓が原因で起こる発作もあります
見分けるためにはいつ、どういう状況でどれくらい続いたかなどが重要です
お家のわんちゃん、ねこちゃんがてんかんを起こしたかもしれない場合、動画が診断の助けとなります
できれば、てんかんの起こる前から終わった後の様子、全体の様子と顔の様子があると診断につながります

   

<症状>
前足、後ろ足をばたばたする、震え、よだれ、ぼーっとする、いつもとちがう行動をする、などさまざまですが同じ症状が何度も繰り返し起こります

  

<診断>
身体検査、血液検査、神経検査、レントゲン検査、超音波検査などで脳以外に異常がないことを確認します
また、MRI検査で神経や脳の状態の確認が必要になる場合もあります
そのほかには脳波を測定して確定することもあります

  

<治療>
てんかんの原因にもよりますが抗てんかん薬を用いることが一般的です
そのほかにも脳内の腫瘍や炎症などがある場合は手術や抗がん剤、抗炎症薬を使用します

   

杉村

ハリネズミのダニ症

2018年10月30日

 

ハリネズミのダニ症は、皮膚にダニが寄生し、皮膚症状起こす病気です

ダニの寄生により、かゆみがでたり、鱗屑(フケ)がでたりします

寄生数が多い場合、皮膚でダニが動く様子が見られることもあります

飼い始めてすぐや、1歳程度の若い子で問題になることが多いですが、年齢に関係なく寄生します

 

今回、ダニの寄生が疑われたハリネズミが来院されたので、その経過について報告します

 

症例

ヨツユビハリネズミ 年齢不詳(推定1)

顔や耳に動くものがいるので、ダニの寄生があるかもしれないとのことで来院されました

 

経過・診断・治療

食欲・元気供に問題はないが、顔や耳周囲に肉眼上動くものが見られ、針の間にはあまり認められない

耳の中は問題なく、鱗屑はあまり増加していない

テープ検査を行い以下の画像に示すダニが確認されたため、ダニ症と診断しました

(写真)

 

治療は駆虫薬のスポット投与です

 

コメント

本症例は、オーナーさんがハリネズミのダニ症を知っておられ、症状が重度になる前に早期発見ができ、早期に治療を始め、ダニの駆除ができました

寄生が重度になると、かゆみにより食欲元気がなくなることもあるので、皮膚のかゆみが出た場合は病院に連絡ください

 

 

(写真)

喉頭麻痺

2018年10月2日

喉頭麻痺

呼吸器疾患の一つである喉頭(のど)の異常である喉頭麻痺について報告いたします。

喉頭麻痺は喉頭の筋肉に分布する末梢神経の異常により様々な呼吸器症状が認められる病気です

 

原因 

先天性と後天性の報告があります

先天性は遺伝的要因によりものと考えられています

後天性のものには、原因として腫瘍、外傷やホルモン異常などにより喉頭麻痺を発症することがありますが、特発性(原因が特定されない)による喉頭麻痺が最多の原因です。

また、特発性喉頭麻痺は最近の研究によりこの病気はゆっくり進行する全身性神経筋障害の一症状である可能性も考えられています

 

症状

息を吸うことが苦しい(ぴゅーぴゅーと高い小さい音が聞こえる場合もあります)

声が枯れる

えずき

疲れやすい

上記の症状は特に運動後や高温多湿の状況で顕著になることが多く、症状の進行は数ヵ月~数年と様々です

 

診断

身体検査、聴診、レントゲン検査、動脈血ガス検査、血液検査などにより、

類似した症状の病気との区別、合併症(同時に発生する病気)や原因の絞り込みが必要になります

 

治療

治療は症状の重症度により様々です

緊急性がある場合は状態を安定化させるために少しでも呼吸をしやすくする治療を行います、特に喉頭麻痺を患っている動物では肺炎(誤嚥性肺炎)を併発しやすいためそれらの治療も必要になることがあります。

呼吸困難が生活の質に大きく影響している場合は外科手術が適応となります

手術には片側披裂軟骨側方化術(Tie back)や披裂軟骨側方牽引術(Tie side)等の方法があります

高齢動物での発生が多い病気なので外科手術のメリット、デメリットを考えながら、内科療法(薬や環境整備)で病気と付き合っていくなどの治療の選択肢をご提案しオーナー様と治療を決めていきます。

 

犬アトピー性皮膚炎

2018年8月7日

最近、おうちのわんちゃんがお耳をかゆがったり、手足をかじかじしていることはありませんか?
 
夏に悪化しやすい皮膚病としてアトピー性皮膚炎があります。
アトピー性皮膚炎はさまざまなアレルゲンに反応し、IgEが放出され引き起こされる皮膚の症状のことをいいます。

若い年齢から発症し、自分の免疫が異常に反応してしまう状態です。
 
症状

皮膚のかゆみ、脱毛、発疹など
 
でやすい部位

  
診断
血液検査によるアレルゲンの特定
アレルゲンを注射(皮内反応)
 
治療
シャンプー療法
→スキンケアやアレルゲンの除去
かゆみ止め(飲み薬や塗り薬)
→ステロイドや抗ヒスタミン剤など
免疫療法
→減感作療法
 注射を打つことで根治できる可能性があります。
  
アトピー性皮膚炎と似た病気で食べ物に反応して皮膚の痒みが出る食物アレルギーもあります。
食物アレルギーの場合はアレルギ―の出ない食べ物を与えることで改善します。
そのほかにもホルモンが関連する皮膚病、寄生虫症、皮膚がんもあります。
ぜひスキンシップの際にわんちゃんの皮膚をじっくり見てあげてください。
 

杉村

ハムスターの切歯過長

2018年7月11日

ハムスターの切歯過長は、前歯が本来持つ長さよりも伸びてしまう病気です。

ハムスターの切歯は生涯伸び続ける歯ですので、外傷や不正咬合、上もしくは下の切歯がなくなってしまうと摩耗されずに伸びて、本症が発症します

今回、上の切歯が欠損したことにより下の切歯が過長になったハムスターさんが来院されたので、その経過について報告します

 

症例

キンクマハムスター 1歳7ヶ月齢

下の歯が伸びているので、切って欲しいとのことで来院されました

 

経過・診断・治療

食欲・元気共に問題はなく、肉眼上、下顎の切歯の過長が認められたため、下顎切歯の過長と診断しました(写真1)

治療は、伸びすぎた歯を切除することです(写真2)

 

コメント

本症例はもともと、上顎の切歯がないことがわかっており、早期発見ができましたが、見た目ではわからないこともあるので注意が必要です(写真3)

切歯が伸びすぎると、皮膚を貫通して痛みが出たり、切歯が邪魔で食事ができなかったりします

一度このような状態になると、元に戻すのは非常に難しいため、生涯定期的な切歯の切除が必要になります

 

 

 

 

 

 

写真1

 

 

 

 

 

写真2

 

 

 

 

 

写真3

 

獣医師 榮 亮介

犬の気管支拡張症/気管支軟化症

2018年6月13日

犬の気管支拡張症/気管支軟化症

 

定義

気管支壁の弾性や筋組織が組織崩壊し、気管支の慢性の異常拡張やゆがみを起こしたもの

原因 

長期間の炎症や感染により気管支への障害が起こり気管支が拡張する

犬では好酸球性気管支炎、慢性気管支炎、細気管支炎、気管支肺炎が進行した結果生じる。

好発犬種

日本ではミニチュアダックスフントで多くみとめられる

症状

咳、呼吸困難

診断

X線検査、XCT検査:拡張した気管支の検出 ↓

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑ 縮んだ気管支(息を吐いた時)         拡張した気管支(息を吸った時)

動脈血ガス分析:肺の換気能力や酸素などを取り込むガス交換能力の検査

気管支鏡:炎症や感染の原因の特定

治療

不可逆性(気管支が元の状態に戻ることがない)の病気のため、症状を減らす治療(緩和治療)および進行を遅らせる治療が必要

抗菌剤、気管支拡張薬、抗炎症薬、去痰薬など

上記の薬を飲み薬またはネブライザー(噴霧吸入法)により投与

ポイント

一度拡張した気管支を元に戻すことは困難なため、原因となる疾患を早期に発見治療することが重要です。

また、拡張した気管支の機能を補助または残っている気管支の保護を目的とした治療も早期に行うことが大事と考えています

獣医師 菅沼

 

猫の異物誤食

2018年5月8日

今回は猫の異物について報告です
 

こちらのレントゲンは先日、胃内異物が見つかった猫ちゃんのものです

 

 

黒い斜線部分が通常の胃の大きさです
この猫のレントゲンでは水色のラインで胃を囲んでいます
胃がパンパンにふくらんで中に何か詰まっていることがわかります

 

そして、こちらの写真は開腹手術にてとりだした胃の中身です

ヒモや髪ゴム、毛糸、スポンジなどたくさんの異物が取り出されました

 

猫ちゃんはヒモ状のものやカサカサしたビニール、噛みごこちのよいものなど遊びながら食べてしまうことがあります
とくにヒモ状のものは腸に引っかかってしまい、アコーディオンのように引きつれてしまうこともあります
嘔吐や食欲不振だけでなく、下痢、腹痛など症状は様々ですので、おうちの猫ちゃんに誤食の可能性がある場合はすぐに獣医師に伝えてください 
おうちでは食べてしまいそうな小さいサイズのおもちゃや輪ゴム、髪ゴム、靴ひも、ビニールなどはとくに気をつけていただき、手の届かないところにしまってください

 

開腹手術は猫ちゃんにとって麻酔をかけたり、痛みを伴う手術ですのでとても負担がかかります
気をつけるだけで防ぐことのできる病気ですから、もう一度おうちの環境を見直してみてはどうでしょうか?

 

獣医師 杉村

フェレットの副腎疾患

2018年3月13日

 

フェレットの副腎疾患は、腎臓の近くにある副腎という小さな臓器が異常な働きを起こし、皮膚症状を初めとする、全身的に症状が出る病気です。

臨床症状として、脱毛、皮膚の痒み、皮膚の分泌物の亢進、被毛の変色、乳頭や乳腺の腫大、雌の外陰部の腫大、外陰部からの分泌物、雄の排尿障害、腹部膨満などが認められます。

今回、副腎疾患を疑うフェレットさんが来院されたので、その経過について報告します。

 

症例

フェレット  4才齢

背中の毛が抜けてきて、痒そうとのことで来院されました

 

経過

来院の1-2ヶ月ほど前から背中の毛が抜けてきて、痒そうに掻いていました。

身体検査を行うと、腰背部の脱毛・発赤を主病変として、頸部や腋窩などにも軽度に同様の病変が認められました、また腹部触診によりお腹の左側に腫瘤が触れました

レントゲンでは脾臓の腫大が認められ、他に大きな問題はありませんでした。

腹部超音波検査では脾臓の腫大が認められ、左右の副腎の大きさは正常でした。

皮膚の検査を行い、細菌や真菌の感染、外部寄生虫がいないことを確認しました

 

診断

副腎は大きくなっていませんでしたが、フェレットの副腎疾患を強く疑い、内科的治療を開始しました

 

治療

月に1度のホルモンの注射による治療を行いました

1度目の注射から1ヶ月後で改善がみられましたが、まだ脱毛がありました

2度目の注射では外観上ほとんど問題ないレベルまで脱毛と発赤が改善しました

写真は治療前と、1回目の注射から1ヶ月後、2回目の注射から1ヶ月後の写真です

 

治療前

 

 

 

 

 

 

1回目の注射から1ヶ月後

 

 

 

 

 

 

2回目の注射から1ヶ月後

 

 

 

 

 

 

 

コメント

フェレットの副腎疾患は、いろいろな因子により発症すると言われており、明確な原因はわかっていません、早期の避妊去勢がそのうちの一つと言われています

治療には、大きくなった副腎を切除する外科的治療、ホルモンの注射を打ち症状を抑える内科的治療、そのほかの治療に分かれます

本症例は超音波検査で、左右の副腎のどちらも大きくなっておらず、どちらが機能的に異常をもっているのかも判断できなかったため、内科的治療を選択し、良い反応が見られました

内科的治療はあくまで症状を抑える治療で、月に1度生涯注射が必要になり、根本的な治療は外科的治療に委ねられます

どの治療を行うかは、その子の症状や状態、検査結果によりますので、同じような症状が見られましたら、動物病院に連絡をしてください

 

獣医師 榮 亮介

1 / 212