TOP > 病院からのお知らせ > 2011年9月30日 感染性下痢の新しい診断法

病院からのお知らせ

2011.09.20 従業員向け病院内セミナーを開催しました

テーマ: 感染症による下痢の新しい診断法

 当院では、日頃よりフードメーカー様や製薬会社様のご協力をいただき、病気の診断技術や治療について、最新の情報を学ぶ「知識の向上を目的とした従業員向けセミナー」を定期的に実施しており、ご来院いただく皆様に、より良い医療とサービスをご提供できるよう努めております。

 今回は、メリアルジャパン株式会社の方を講師にお招きして“感染性下痢の新しい診断法”について学びました。

ご来院いただく皆様へのフィードバック

まず、“ジアルジア症”という病気についてご説明します。
 
 
ジアルジア症とは、ジアルジア(学名:Giardia intestinalis)という寄生虫が動物の小腸に寄生することによって起こる寄生虫感染症です。この寄生虫が小腸に寄生することによって、栄養吸収が阻害され、下痢や嘔吐に続き体重の減少などが症状として起こります。
 幼齢の動物に多く発生することが知られており、6カ月齢未満の犬の31.5%、すなわち3頭に1頭の仔犬が感染しているという報告もあります。また、この寄生虫は糞便中に排泄されるため、まれに集団飼育を行っているペットショップやブリーダー犬舎などで集団発生の被害が起こることもあります。幼齢犬の場合、症状が長引くと発育不良などにつながり、重篤な病態になることもありますので下痢が続いているときには必ず便の検査が必要となります。
 今回勉強させていただいたのは、これまでの便検査よりも検出率が高い“ジアルジア検査キット”についてです。これまでのジアルジア症の検査は、糞便の中の寄生虫を直接顕微鏡で探したり、あるいは特殊な検査液を用いた浮遊法を行ったものを顕微鏡で検査して寄生虫を検出するものでした。便検査の場合、検出率が低い事や検査方法による検出率の差が従来より問題となっていました。しかし、今回の新しい検査キットでは、一定量の糞便を検査キットにセットしてジアルジアの抗原(“抗原”とはジアルジア本体を構成するある部分の事)を検出するため、より正確で素早く結果を知ることができ、適切な治療と管理を行うことができます。
 ジアルジア症の感染拡大を防ぐために重要な事は、治療のための駆虫薬の投与だけではありません。お家での生活環境の整備(消毒や隔離の徹底)や、シャンプー療法を同時に行っていくことで感染の拡大を防ぐことができるのです。

次に、犬パルボウイルス感染症という病気についてご説明します。

 犬パルボウイルス感染症とは、パルボウイルスが活発に細胞分裂を行う細胞に感染することによって起こる感染症です。
 症状は年齢によって様々です。
 8週齢以下の仔犬の感染は心筋炎型と呼ばれており、心筋への感染により突然死することがあります。
 生後2-3ヵ月齢以降の仔犬の感染は腸炎型と呼ばれます。腸炎型の場合、ウイルスがリンパ系組織に感染した後に血流に乗って全身を循環します。最終的に、腸粘膜の絨毛という場所に感染しその構造を破壊してしまい、激しい血様下痢、嘔吐、食欲消失を起こしてしまいます。非常に強い症状を伴う場合、輸血が必要になることもあります。
 いずれも仔犬では重症になりやすく、致死率も非常に高い感染症です。パルボウイルスに感染した犬は、臨床症状を示す前からウイルスが糞便中に排泄されます。そのため、症状を示してすぐに検査をする必要があるのです。また、感染が確定すると積極的な治療、隔離管理が必要となるため、早期の診断が治癒への大切な鍵となるのです。
 今回のセミナーでは、“パルボウイルス検出キット”についても学びました。このキットは、糞便中に排泄されたパルボウイルス抗原(“抗原”とはウイルス本体を構成するある部分の事)を検出する物です。これにより院内での迅速な確定診断を行うことができ、早期治療を行うことが可能になります。

 今回ご紹介したジアルジア検査キットは、現段階ではまだ病院に導入されておりませんが、外部検査センターでの検査が可能です。これから導入に向けて検討してまいりますので、改めて皆様にご案内いたします。

私たちは、これからもより良い診療を行うために、様々な取り組みを行ってまいります。

宜しければこちらもご覧下さい。 (関連リンク:より良い診療を行うために

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