【動物病院監修】犬の肝硬変~進行性の肝臓疾患と向き合うために必要な知識~

はじめに
相模原市・町田市・八王子市の皆様こんにちは。
相模原市緑区にある、ほさか動物病院です。
わんちゃんの肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなり病気が進行するまで症状が出にくい特徴があります。
そのため、気付いたときにはかなり状態が悪化していることもあります。
肝硬変は、肝臓の細胞が破壊され、硬く再生不良の状態に置き換わってしまう進行性の疾患です。
慢性肝炎や長期間の肝臓病の末期像として起こることが多く、栄養代謝、解毒、血液凝固など全身に大きな影響を及ぼします。
今回は、犬の肝硬変について、原因、症状、治療、自宅でのケア、そしてほさか動物病院での診療体制について詳しく解説します。

犬の肝硬変の原因と対処法とは

肝硬変は、長期間にわたり肝臓に炎症や負担が蓄積することで発生します。
主な原因
・慢性肝炎や肝細胞の壊死
・感染症(レプトスピラ症など)
・薬物性肝障害
・胆管閉塞や胆道疾患
・腫瘍や血流障害
・先天性疾患(門脈シャントなど)
慢性炎症により肝細胞が破壊され、線維組織に置き換わることで肝臓が硬くなり、本来の機能が低下します。

自宅で見られる症状

肝硬変の症状は徐々に進行します。以下のような変化が見られることがあります。
・元気がない
・食欲不振
・体重減少
・黄疸(歯茎や白目が黄色い)
・腹水(お腹が膨らむ)
・下痢や嘔吐
・出血しやすい、あざができやすい
・ふらつきや異常行動(肝性脳症)
特に、アンモニアの解毒ができなくなると肝性脳症が起こり、ぼーっとする、よろける、反応が遅いなどの神経症状が現れます。

自宅でできる肝硬変のケア

肝硬変は完全に元の状態に戻すことが難しいため、肝臓への負担を減らすケアが重要です。
・無理のない運動と安静
・急激な食事変更は避ける
・体重管理を徹底し、肥満を回避
・ご家族の判断で市販のサプリメントや薬を与えない

食事療法(特に高アンモニア血症の有無によって変更)


肝硬変の治療で最も重要なもののひとつが食事管理です。
特に「高アンモニア血症」があるかどうかで食事内容は大きく変わります。
高アンモニア血症がない場合
アンモニアの解毒がまだ維持できているため、必要量のタンパク質を確保します。
・高品質なタンパク質を使用した肝臓サポート食
・脂質は適度
・ビタミン、亜鉛、抗酸化物質の補給を重視
肝臓の再生と代謝を助ける栄養バランスを整えます。
高アンモニア血症がある場合
アンモニアを減らすため、
・タンパク質量を制限した食事
・植物性タンパク質(消化時にアンモニアを産生しにくい)を中心にする
・乳酸菌による腸内環境改善
が必要となります。
また、下記のような治療食を併用する場合があります。
・低タンパク肝臓病食
・消化性が高く、アンモニア生成を抑える処方食
状態に応じた細かな調整が必要なため、必ず獣医師と相談のうえで決定することが大切です。

動物病院を受診すべきサイン

・食欲がほとんどない
・嘔吐や下痢が続く
・お腹が膨らんできた
・黄疸が見られる
・元気がない、ふらつく
・突然異常行動をする(肝性脳症)
これらは肝硬変が進行している可能性があり、迅速な診察が必要です。

ほさか動物病院の診断と治療

当院では、肝臓病の診断・治療において以下の検査と治療を組み合わせています。
検査
・血液検査(肝酵素、アンモニア、胆汁酸検査)
・レントゲン検査
・超音波検査(肝臓の形態評価、腹水確認)
・必要に応じて外部施設にてCT検査を紹介
・感染症検査やホルモン検査

なお重要な点として、GPT(ALT)やALPといった「肝酵素」が上昇しただけでは肝硬変とは診断できません。
肝酵素は肝臓の炎症や障害を示す指標であり、肝硬変に限らずさまざまな肝臓疾患で上昇します。

肝臓の合成能などを評価する「肝機能検査(アルブミン、アンモニア、コレステロール、凝固系、胆汁酸検査など)」で異常値が出て初めて、肝硬変の可能性が高まります。
このため、肝酵素と肝機能の両方を総合的に評価することが非常に重要です。

治療

・食事療法(状態に応じたタンパク質量の調整)
・肝臓保護剤、抗酸化剤
・利尿薬(腹水がある場合)
・抗生剤(肝性脳症改善目的で腸内細菌を抑制)
・乳酸菌製剤やラクツロースでアンモニア産生を抑制
・ビタミン剤、サプリメント併用
肝硬変は進行性のため、継続的なモニタリングが欠かせません。

ほさか動物病院の肝臓病治療の特徴3つ

1.    肝臓の状態を細かく評価する検査体制
 血液検査、超音波、必要に応じた外部CT撮影を組み合わせ、肝臓の負担を正確に把握します。
2.    一頭一頭に合わせた食事療法
 高アンモニア血症の有無、肝酵素の上昇具合、腹水の有無などを考慮したオーダーメイド食事設計を行います。
3.    継続的なフォローアップ
 慢性の肝臓病は長期管理が重要なため、定期検査とご家族との相談を重視し、症状の変化に合わせて治療を調整します。

終わりに
犬の肝硬変は進行すると全身に影響が及びますが、早期発見と適切な管理により、症状を大きく改善し、生活の質を保つことができます。
ほさか動物病院では、肝臓病に対する食事管理、薬物治療、継続的なモニタリングを組み合わせ、わんちゃんの状態に合わせた最適な治療をご提案します。
食欲の低下、元気がない、お腹が膨らむなどの症状がある場合は、早めにご相談ください。